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当院に猫を捨てていった人へ。そして、動物を保護する事とは。

この記事は動物病院側からの意見として、やや厳しめの内容になります。

そして文章が長めです。

ご了承の上で閲覧をお願いいたします。

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本日の朝。

出勤した当院のスタッフが、キャリーケースに入れられ、捨てられた成猫を発見しました。

場所は当院のすぐ近くの駐車場です。

前日は見当たらなかったので、おそらく夜中に捨てて行かれたのでしょう。

キャリーケースには、「よろしくお願いいたします!!里親様をさがしていただきたいです。」と書かれた紙が絆創膏で貼り付けられていました。

あの、失礼ですがどちら様でしょうか?

そのような話を聞いたこともありませんし、顔も名前も明かさずに勝手によろしくお願いされましても、非常に困ります。

何よりも、夜から朝にかけて冷たい雨と強い風が吹く中で、飼い主に捨てられ、突然一人ぼっちされてしまった猫ちゃんの気持ちが分かりますか?

あなたの足音がだんだんと遠ざかっていくのを、その子は黙って聞いているしかなかったのです。それがどれだけ残酷な事か・・・。

分からないから捨てていったのでしょうが、本当に酷い話です。

捨てて行った人の情報は全く知りませんが、

病気になり飼育が困難になった。引っ越しをしなければいけなくなったが、引っ越し先がペット禁止だった、など、恐らくこの子を捨てるにあたって、何か理由があったことでしょう。

「動物病院の前に置いていけば、世話をしてもらえるだろう。里親を探してもらえるだろう。仕方なかった。保健所には連れて行かないから命は助かるだろうし、私はいいことをした。」

という、自己満足と偽善の心をもっていたということも・・・。

敢えて厳しい言い方をさせていただきますが、

いいことをしたなんて、勘違いしないでください。

動物の遺棄はどんな理由であれ、犯罪です。

それは決して許されることではありません。

捨てられた猫ちゃんには何の罪もありませんので、私たちが保護したからには責任をもって里親を探します。

次こそは幸せになってほしいですから・・・。

それともう一つ大事な事。

動物病院は、ボランティア施設ではありません。

動物病院という名の通り、動物を治療する場所なのです。

保護活動や飼えなくなってしまった動物を引き取る事が仕事ではないのです。

冷静に考えていただければ分かるかと思います。

「保護したけど自分じゃ面倒を見られないから、病院が引き取って里親を探してください。」

「飼えなくなったから、病院で飼ってください。」

残念ながら、こういった方が稀にいらっしゃいます。

猫を保護したら里親を必死で捜すか、自分で飼うかを拾った人が決断し
行動するしかありません。

飼えなくなってしまった場合も同様に里親を探すしかないのです。

仮に当院で引き取ったとしても、当院の構造上、院内に自由に放す事が出来ないため、その子は一生をケージの中で過ごすこととなります。

わんちゃんの場合は、お散歩へ連れて行くので少しは気分転換ができますが、ねこちゃんの場合はそうはいきません。かなりのストレスになるでしょう。

そんな一生で、果たしてその子は幸せでしょうか。

幸せなはず、ないですよね?

当院が引き取りをしない理由の一つです。

動物病院は病気の動物を治療するところであり、責任を転嫁されるところではありません。

自分でなんとかして里親を探す、または自分で飼うという考えもなく、ただ可哀想だからとりあえず保護して、無償で他の人になんとかしてもらおう。という時点で間違っているのです。

それはあまりにも身勝手で、無責任な行動です。

保護すると決めたならば、飼うと決めたならば、何らかの形で責任を取らなくてはいけないと考えています。

今回、捨てられてしまったこの子の治療や検査代、お世話する時間、ご飯代、1頭分の入院用ケージ、里親を探す労力。

これらは全て無償です。

今回は成猫でしたが、生まれて間もない子猫の場合は自力で排泄が出来ないので、排泄を促してあげなければいけません。哺乳も数時間ごとに毎回ミルクを作り、1頭ずつシリンジで与えなければいけません。

スタッフのお昼休みの時間でも子猫たちには関係ありませんので、休み時間を削ってでもお世話をします。

保温を怠ると低体温症で亡くなってしまうため、まめな湯たんぽの交換も忘れてはいけません。

これが何頭も何頭も増えたら、どうなると思いますか?

予想外の出費が増えたら経営は厳しくなりますし、入院用のケージがなければ、入院が必要な子たちを入院させてあげる事ができません。

動物病院として、機能しなくなるのです。

無責任な行動が、全て動物病院の負担となります。

何故動物病院だから、と責任転嫁されなければいけないのかと、本当に理解に苦しみます。

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ここまで動物病院側の切実な思いをお話させていただきました。

私たちは決して動物病院で里親を探してほしいという意見を否定しているわけではありません。

動物病院には動物好きの方がたくさんいらっしゃるので、作って持ってきていただいた里親募集のポスターなどに目を通してもらえる可能性は高いですし、時間はかかっても最終的に里親が見つかることも多いので、絶好のアピールチャンスになります。

そのような場所で里親を探したいと思うのは当然の心理だと思います。

しかし、そこで動物病院に全て丸投げにはしないでいただきたいのです。

動物を救うためには、どうしてもお金と労力が必要になってきます。
里親募集の為の預かり(家に連れて帰れない場合)、治療、検査をするにはお金、労力が伴います。 それは患者さん側も、動物病院側も同じです。

その事を踏まえたうえで、保護をしていただきたいのです。

その事を伝えると、「動物病院も結局金かよ!」と吐き捨てられることもあります。

何回もお伝えしていますが、動物病院はボランティア施設ではありませんので、その言葉はお門違いです。

動物病院は医療機関です。

患者さんから頂いたお金で成り立っています。

そのお金がなければ、必要な薬や資材を買うことも、スタッフを雇うこともできません。そうなると、動物病院としてやっていけません。

動物が好きなだけでは、成り立たない仕事なのです。

善意で保護をして連れてきて下さる方も、もちろんいらっしゃいます。

里親が見つかるまでの費用は、決して安くはありません。

それでも、それを覚悟した上で保護してくださった方々に対しては、私達も全力でその想いにお答えし、ご対応致します。

ポスターを作ったので掲示してほしいと言っていただければ、皆さんに見ていただけそうな院内のどこかに貼ります!

何か不安な事や心配な事などがありましたら、ご相談ください。

厳しい意見を長々と書いてしまい、すみませんでした。

同じようなことを何回も何回も主張して書いてしまっていて、読みづらかったかと思います。そうしてでも、どうしても伝えたく、分かって頂きたい内容だったからです。

ここまで目を通していただいて、本当にありがとうございます。

「怪我をしている子猫がいたから可哀想だと思い保護して、動物病院に連れて行ったが引き取って貰えなかった。飼えないから行ったのに。お金を取るなんてありえない!」等という意見をSNSなどで見かける事があり、「え?それは動物病院のせいになるの??」と衝撃を受け、そして今日捨て猫ちゃん事件が起きたため、今回この記事を書きました。

この記事を読んで、色々と考えていただくきっかけになれば幸いです。

また同じようなことが起きないことを、心から願っています。

きたじま動物病院