獣医師の浴本です。
11月になり秋も深まってきましたね。
「蚊はもういないから、フィラリア予防薬はもう飲ませなくても大丈夫」と思っていませんか?
でも、蚊がいなくても病院でお伝えしている12月までしっかり飲ませてください!
フィラリアの予防は最後が肝心です。
それはどうしてなのでしょうか??
もし蚊がいなくなる前の月に、フィラリアに感染してしまっていたら、
犬の体内に入り込んだ幼虫がどんどん成長しているからです!
フィラリアとは、犬糸状虫という肺動脈に寄生する寄生虫です。
肺動脈に寄生し成熟した虫は、未熟な幼虫(ミクロフィラリア:mf)を産出します。
mfが蚊に吸血されたとき、蚊の体内に入り込み、感染力を持つ幼虫(L3)まで成長します。
このフィラリアの幼虫L3は、蚊が犬を吸血した際に感染、つまり犬の体内に侵入します。
その後、筋肉や脂肪組織で成長(L4)し、70日目ごろにはさらに未成熟虫(L5)に成長します。
そして静脈内に侵入、100日目までには肺動脈に到達します。
肺動脈に到達したL5は、そこで成長し、早ければ蚊に刺されてから6か月後にはmfを産出します。
図に表すと↓のようになります。
フィラリア予防薬とは実は駆虫薬で、体内に侵入した幼虫L3とL4に最も効果があります。
ただし、体内に侵入後30日以上過ぎ、未成熟虫L5に近くなってきたL4に対するお薬の効果は低下し始めます。
ですので、月1回の投薬が大切になってきます。
11月になりましたが、繁みや水辺などにはまだ蚊がみられます。
月末にはもういないかもしれませんが、今この時期に蚊に刺され、フィラリアに感染してしまった場合、
12月にも投薬しなければ、虫は生き残り成虫へと成長してしまいます。
成虫は12~16㎝ほどになり、寄生した虫の数や犬の大きさによっては循環障害を引き起こし、最悪の場合死に至ります。
感染を予防するために、12月までしっかりとお薬を飲ませてくださいね。